ローラー台の走行感は「慣性質量 n[kg]相当」でおねがいします

ウソ書いてるかもしれないので注意。
インドアトレーナーの「走行感」は、フライホイールの慣性モーメントを「慣性質量 n[kg]相当」で表現すれば、どれだけ実際の走行感に近いかを表現できるかもしれないとオモタ。カタログスペックでそれが明記されてれば最高だけど、ざっくりでよければ
  • フライホイールの質量
  • フライホイールの径
  • 駆動ローラーの径
でだいたい類推できる気がしてきた。

M = (1/2 x m x r^2) / R^2
M: 相当する慣性質量[kg]
m: フライホイールの質量[kg]
r: フライホイールの半径[m]
R: 駆動ローラーの半径[m]

これがライダー+自転車+装備品の総重量と近ければ「実際の走行感に近い」ローラーが得られるんじゃないかしら。

質量mの物体に加速度aを与える力Fを求めるには

F = m a

自転車の場合は体重+自転車重量+装備品重量を合わせた質量(総重量)がm。例えば総重量63kgの人が1m/s^2で加速するために必要な力は

F = 63[kg] x 1[m/s^2]
F = 63[kg m/s^2]
F = 63[N]

ということは63Nの力を加えた時に1m/s^2で加速するローラー台があれば、それは総重量63kgの人にとって「実走感の高いローラー台」になるんじゃないかしら。

直線運動する自転車の加速度はタイヤに接していた面の加速度なので、ローラー台ではタイヤが接している駆動ローラーの面の加速度が、駆動ローラーの角加速度に変換される。駆動ローラーが半径r=0.03mの場合、面の加速度1[m/s^2]は

ω = a / r
ω = 1[m/s^2] / 0.03[m]
ω = 33.33333...[rad/s^2]

の角加速度に変換される。面の加速度というか接線方向の加速度か。
同様に自転車に加速度を生じさせる力Fは駆動ローラーのトルクに変換される。半径r=0.03mの駆動ローラーの接線に63Nの力を加えると、

T = F r
T = 63[N] x 0.03[m]
T = 1.89[Nm]

のトルクが生じる。
トルク1.89[Nm]を加えた時の角加速度を33.33333...[rad/s^2]に収めるには

I = T / ω
I = 1.89[Nm] / 33.33333..[rad/s^2]
I = 0.0567..[Nm / rad/s^2]
I = 0.0567..[kg m^2]

の慣性モーメントが必要。
円柱の慣性モーメントは

I = 1/2 x m r^2

なので、仮に半径0.1[m]のフライホイールでこの慣性モーメントを得ようとすると、フライホイールは

m = 2 I / r^2
m = 2 x 0.0567[kg m^2] / 0.1[m]^2
m = 11.34[kg m^2 / m^2]
m = 11.34[kg]

の質量が必要になる。けっこう重いですね。。。

(まとまってないけど)まとめると

F = m a

を固定ローラーで表現すると

F = m a = T / r
F = T / r
F = (I ω) / r
F = ((1/2 x m x r^2) x (a / R)) / R

Fの単位は[N] = [kg m/s^2]で、aはこの場合1[m/s^2]なので、固定ローラーが生み出す慣性質量相当の質量M[kg]は

M = (1/2 x m x r^2) / R^2
M: 相当する慣性質量[kg]
m: フライホイールの質量[kg]
r: フライホイールの半径[m]
R: 駆動ローラーの半径[m]

で得られると思う。ウソ書いてるかもしれませんので注意 :-)

参考までに計算してみた。
  • Kurt Pro Trainer(6+12 lb): m=8.16[kg], r=0.0975[m], R=0.0275[m]なのでM=51.28kg
  • Kurt Pro Trainer(6 lb): m=2.72[kg], r=0.0825[m], R=0.0275[m]なのでM=12.24kg
  • 1up CPR A-2000: m=3.4[kg], r=0.0762[m], R=0.0381[m]なのでM=6.8kg
  • Elite Crono Mag: m=1.7[kg], r=0.065[m], R=0.015[m]なのでM=15.96kg
KurtのrとRは適当にメジャーで測ったもの。Elite Crono Magは形状が不明なのであくまでも計算例。実際にはフライホイールの形状で慣性モーメントの計算方法は変わるし、駆動ローラーと負荷装置の慣性モーメントも合算して考慮すべきなんだけど図面も素材も消費者にはわからないのでスルーで。あ、1upは駆動ローラーも大きいのでもっと重いかも。
蛇足だけど、1upが静かなのは駆動ローラーが大きく回転速度が低いからかもなぁ。Eliteは駆動ローラーの径が小さいので軽いフライホイールでも意外に重くなってる。駆動ローラーを小さくすればフライホイールが軽くてすむけど、タイヤとの接地面積が小さくなるので空転しやすくなる。

あと、3本ローラーの場合は

M = 3 (1/2 x m x r^2) / R^2

かな。3本はフライホイールの径rと駆動ローラーの径Rが同じになる。3本とも同じサイズ同じ重量ならx3でいいけど、違うならぞれぞれの慣性モーメントを合計すればいいはず。

というわけでミノウラさんシロモトさん。素人考えですが、ローラーの走行感は「慣性質量 n[kg]相当」で表現するってのはどっすか? もっというと体重に合わせてオーダーできるフライホイールがあれば最高。


追記:
ネタとして、上記の回転運動の慣性モーメントを直線運動の慣性質量に換算するのとは逆に、直線運動の慣性質量を回転運動の慣性モーメントに換算したものを等価慣性モーメントとよぶそうで。

[I] = m (v / ω)^2
[I]: 直線運動を回転運動に換算した慣性モーメント[kg m^2]
m: 直線運動する物体の質量[kg]
v: 直線運動する物体の速度[m/s]
ω: 回転運動の角速度[rad/s]