2014年1月1日施行のポジションに関するUCIルール改訂

UCIの調査では、80%近くの選手がポジションに関するルールの免除申請をしているそうです。サドルの5cmルールもエアロバーの75cmルールも実際かなり迷惑なルールだったわけですが、2014年1月1日から改訂され、かなり競技者の自由度が増えます。競技に関わる選手・審判のひとは要チェック。

ルールの変更点はJCFのサイトの日本語訳にも掲載されていますが、差異がとてもわかり難いので本家の文書を参照されることをお勧めします。もっとオススメなのはUCIがときどき発行している"Update Sport and Technical"のIssue no.4。こちらの14ページでルール変更の背景を含むポイントが解説されていて面白いです。特に身体検査が無くなり自転車だけがチェックされる運用に変わることで、スタッフが自転車を持ち込んでチェックを受け、ライダーはウォーミングアップなど準備に専念できることを示唆している点に注目しています。

いやほんとこれかなり重要。個人タイムトライアルのスタート直前にコンセントレーションを乱されるようなアクシデントはほんと勘弁願いたいですからね(渡良瀬遊水池の方向を向きながら)。

UCI 1.3.013(サドル位置)に関する変更

"身体形態上の理由で必要な場合には、サドルの先端はボトムブラケット軸を通る垂直線まで前進させることができる"(UCI 1.3.013より抜粋)

これまで"ライセンスコントロール時"に"書類"の提出と身体検査(ニーテスト)を要求していましたが、これらは大幅に簡素化されて"バイクチェック時"に"申告"するルールに変わります。膝位置の身体検査を要求する文言は削除されました。

UCI 1.3.023(TTのエクステンションバー)に関する変更

"ロード・タイムトライアルおよびトラックの個人/チーム・パーシュートにおいて、ステアリング・システムに固定エクステンションを取り付けてよい。この例において、肘の支持点とハンドルバー・エクステンションの最高部と最低部(変速レバーを含む)との差は10cmを超えてはならない。(後略)" (UCI 1.3.023より抜粋)

今までは「エクステンションバー上の腕は水平でなければならない」という要求でしたが、これが削除されバーの位置を具体的に示した内容に変わりました。世界チャンピオンも安心です。

また1.3.013(5cmルール)と1.3.023(エクステンションバーの75cmルール)は、身体形態上の理由でいずれかひとつだけ免除を申告することができます。1.3.013の5cm免除は小さいライダーのため、1.3.023の75cm免除は大きいライダーのため(と考えられるので)なので"両方免除"は無しで。
1.3.013(サドル5cmルール)を免除申請する場合は最短0まで。1.3.023(エクステンションバー75cmルール)を免除申請する場合でも最長80cmまでって点は以前と何も変わっていないので注意。
(追記: 1.3.023について2014年5月1日から身長190cm以上の選手はエクステンションバーを85cmまで伸ばせるようになった。)

もうひとつ重要な変更が、変速レバーの種類を問わずレバー先端(遠位端)までをエクステンションバーの長さとして計測する点。ここ数年はCampagnoloの"Back-to-zero position"レバーやSRAM/ZippのR2C™などオートマチックレバー類が不利になる運用でしたが、レバー種類によらない一貫性のある内容になりました。とりあえず可能な限り遠くを握りたい人は電動スイッチ一択になりました。


遠位端骨折の治療で鎖骨と肩甲骨を連結しており、まだ肘を絞ってエアロバーに乗れない状態なんですが、2014年1月下旬にはインプラントを外せそうな雰囲気になりました。来年のTTが今から楽しみです。それでは良いお年を。