Orbeaのバイクでもうしわけなく思いつつ、渋谷のSPECIALIZEDコンセプトストアでBG FITを受けてきました。平日なので空いてていい感じです。いやお店的には空いてるのは良くはないか?
Andy Pruitt's Complete Medical Guide for Cyclistsの著者としてもおなじみDr. Andy Pruittの研究とノウハウをベースに、SPECIALIZEDがフィッティングメソッドとしてパッケージングしたのがBG FIT(Body Geometory Fit Integration Technology)。と勝手に解釈してます。身長や手足の長さからフィッティングを行う方法が広く行われていますが、そこからもう一歩踏み込んで骨格と柔軟性や筋力などを加味し、ライディング時の動態を基軸にフィッティングをおこないます。詳しくはコンセプトストアのページをどんぞ。
私の用途としてはヒルクライムがターゲットだけど、週末に奥多摩に行くにはひたすら平地を走るわけで、空気抵抗は無視したくない。という優柔不断な感じのニーズを伝えてフィジカルチェックとポジションの調整と評価のプロセスに。
自分ではハムストリングスや腰回りの柔軟性が低いと考えていたのですが、チェックの結果そーでもなく比較的柔軟な方ということで拍子抜け。まぁ比較対象がバレエやってる娘の人や、元々激しく柔軟な妻の人なのでしかたがないのか? 15項目のPhysical Assessmentは概ねフツーな結果でしたが、いくつか気になるところを抜き出すと
- 踝の内反、外反: 右足が回内足ぎみ
- 肩甲骨周りの筋肉量: 少々少なめ
- 前足部の内反、外反: 右足やや開き気味
- 立位体前屈: 腰は柔らかいが、背中が固め
- 股間接、ハム筋の柔軟性: 左右78度
- 腰の柔軟性: 左120度,右122度
- 足の長さ: 上体を起こした状態で左足が5mm長い(寝そべってるとほぼ同じ長さ)
ってとこかしら。最近右足のアーチが低くなってきた気がしてて、実際ワークアウト中も右足裏だけ痛いことがありました。踵が内側に倒れ気味なのは知らなかった...
セッティング変えてローラー回して評価して〜を2時間以上繰り返して、結果
- サドル後退幅: 3.5cm → 4.0cm
- サドル〜ハンドル落差: 6.5cm → 6.2cm
- サドル先端〜ハンドル: 48.8cm → 50.5cm
- 下死点の膝角度: 左25度,右26度 → 左30度,右33度
- BB〜サドル: 660mmで変更無し
- サドル先端〜ブラケット: 645mm(97.7%だね)
という感じに変わって、サドルが後ろに下がってステムも2cm伸びたので上体が低くなりました。インソールの厚みが相当増えたので、心持ち足が近くなった気がしなくもない。
交換した部品はこんな感じ
- ステム: Shimano PRO PLT OSアヘッド(10cm,-6度,125g) → Specialized PRO-SET Stem(12cm,-12度,160g)
- ブレーキレバーシム: Specialized Slim Shimsでリーチを短縮
- インソール: SIDI ergo2付属 → BG High Performance Footbed(++), 右+1.5mmシム1枚
Specializedのステムはライズが可変なのがステキで一本もってると便利そう。でも見た目が個人的好みから外れているので、同じポジションがとれる別のものに代えるかももももも。
ブレーキレバーもドロップ部で近くなって下りも気持ち良さそうで大吉。インソールは厚くなんだかフカフカしてます。
最初は座骨幅を測ってSpecializedのサドルTOUPEに交換してフィッティングを進めていましたが、最後にFizik Arione CXに戻してみたら変わりなかったのでArioneのままにしてもらいました。TOUPEには1〜2時間程度しか乗ってませんでしたが何にも不満が無くてむしろピタッとイイカンジだったなぁ。
元々気になっていたペダリング中に右膝の軌道が落ち着かない点と、右足裏がワークアウト中に痛む点、ハンドルが近いのか手首を内側にひねって距離を稼いでる点など、いくつか改善したい箇所があったのが概ねイイカンジに収まったとおもう。
右膝の軌道は上死点付近で内側にぶれていたようで、右脚のインソール下に内側を1.5mm持ち上げる下駄を履かせた結果、左足並みにピシッと回せるようになりました。
腕はステムを20mm伸ばす+ライズ-12度にして、サドルもちょっと後ろに下げたりして、「伸ばしたかった丁度良いところ」に収まったかも。おまけに背中もよりリラックスできて低く平らにできてイイカンジです。
ただ、膝と股関節の角度がそれぞれ深くなったので、ペダリングに関わる各筋群の稼働域が変わっているのでしばらく様子見ながらワークアウトする必要がありそう。あと右踵の角度が変わったので帰り道に足首にちょっと違和感んを感じてみた。
Andy Pruitt's Complete Medical Guide for Cyclistsを読むと、どーいう考え方でフィッティングすべきかとかどんな障害が起こりえるか等々は「何となく」分かるのですが、「じゃぁ具体的にポジションをどう修正・対応するのか?」というメソッドの部分がズバッと抜けてたりします。
社外秘っぽいBG FITのマニュアルっぽい冊子がおもむろに置いてあったのですごく読みたかったのですが、そこは大人なのでグッと我慢。今回対応して頂いた同ストアの店長中西さんにその辺聞いてみたところ、やはしDr. Andy Pruittしかもっていない言語化されていないノウハウが沢山あるうえに、BG FITを実施するショップや担当者とそれらのポリシーや環境などによっても異なるセッティングが行われる可能性もあるようです。
でもそれが残念な事実かというと私はそうとも思えないかな。ライダーのコンディションも日によってまちまちだし、そもそも痛み以外の体の感覚はアテにならないので当然の結果じゃないかなー。そのアテにならないものを相手に、Dr. Andy Pruittのノウハウの一部を広く使えるカッコウにパッケージングしたものがBG FITなんだろうし。面白かったのが「人間の体の各部長さが一番の不確定要素」みたいなことをAndy Pruittが言ってるそうで、股下等の計測ですら実際には方法がバラバラだったり、マルチジョイントな部位の長さの比率が人によって違ったりなどなど色々限界があるみたい。母指球でさえ「中心つったって何処よ」って感じだしなぁ。
3時間ちょっとの短い時間でしたが楽しかったな。変更点については「たぶんこう変えるとマシになるんだろうな」と何となく考えていたものと近く、それを第三者視点で得られたのが一番良かったです。新しいポジションの案配もいいし、なによりカッコ良くなった(当社比)かんじで今のところ結果にもとても満足してまっする。
問題はシーズン直前にポジション変えるというダメ黄金パターン丸ハマリなところか...ワークアウトは慎重に、慎重に...