高地環境とヒルクライムのパフォーマンスの関係

標高が高くなると気圧が下がって体に取り込める酸素が少なくなるので、標高に応じてVO2maxや維持可能なパワーが低下する。ただし影響の度合いは個人差大きいのでよくわからん。ってなわけで自分の場合はどうなんだろう?ということで手持ちのデータで使えそうなものを眺めてたら

  • 平地で5・20分最大努力した際のパワーから求めたCritical Power
  • ヒルクライムイベントで観測したタイム・平均パワー・標高
が使えそうだったのでザックリと計算してプロットしてみた。
横軸が標高[m]。縦軸は観測されたタイムで期待される平地での平均パワーと、実際に観測された平均パワーとの比率[%]。青線はその回帰直線。
ほとんどのサンプルは70〜80分前後。海抜0mでも89%にダウンしてるという計算結果...これはひどい。2,200mの乗鞍(85.4%)と1,600mの草津(推定89.1%)が他に比して良い結果。それに対して初っぱな20分で黄金のタレを繰り出した1,750mのMt.富士(82.3%)や、前半の激坂でお腹いっぱいな1,400mの美ヶ原(82.3%)、スゲく暑かった700mのMt.鳥海(82.2%)などなどが横並びに悪い結果。
CPは2009年5月10日と2009年9月14日の2回それぞれ計測した5分と20分最大努力した際の平均パワーから

CP=213.1516[W]
AWC=15252.3837[J]

という設定で、タイムから期待される平地での推定平均パワーの計算に使った。例えば乗鞍の場合は

平均標高: 2,200[m] (厳密には2,090mかな)
運動時間: 4,716[sec](1時間18分36秒)
平均パワー: 185[W]

だったのだけど、CP・AWCとこの運動時間で疲労困憊に至る平均パワーを求めると

AP[W] = AWC[J] / t[sec] + CP[W]
AP = 15252.3837 / 4716 + 213.1516
AP = 216.38..[W]

この値に対する実際の平均パワーの比率は85.49%になる。
5と20MPだけで平地での60〜80MPのデータが無いので妥当性もナンもアレですし、コンディションもまちまちなので単に僕のヘタレ具合が如実に現れただけですね。もうちょっと真面目に(かつ低予算で)調べるなら運動できる常圧低酸素室で海抜0・1000・2000mそれぞれで測った5・20MPを比較するのが妥当かなぁ。テスト一本あたり4,000円。

FAQ for training with powerの"Q: How does altitude affect power output?"とかにもあるけど、高地環境でのVO2maxは

y = 0.178x^3 - 1.43x^2 - 4.07x + 100   (Bassettの式)
y = -0.003x^3 + 0.0081x^2 - 0.0381x + 1.0  (Peronnetの式)

だそうで。x[km]が標高でyがVO2maxの割合。乗鞍を2.2[km]と仮定してそれぞれ計算すると

Basset: 86.02%
Peronnet: 92.3%

と、今年の乗鞍でのパフォーマンス(85.49%)自体はBassetの式と近い。にもかかわらずより標高の低い場所でパフォーマンスが盛大に(まんべんなく?)悪かったのが泣ける。今年は標高ウンヌン以前に根本的に持久力に問題があったと解釈しておこう。