往復する直線路における風速とCdAの推定

5月の埼玉TTのログから、
追い風で3.264[m/s]、CdA=0.2145, Crr=0.0035
という推定値を得た。一定の方角から一定の風が吹いてると仮定。走路に対する角度は無視。
月末のMt.鳥海バイシクルクラシック1stステージの準備ということで、5月に走った第4回埼玉県自転車タイムトライアルロードレース大会のデータを整理してた。クリップオンのDHバーを付けた状態で空気抵抗係数がどれくらいか把握しておきたかったもんで。


残念ながらiAeroは持ってないのでSRMのログから類推する。埼玉TTは利根川沿いの直線路約5kmを往復する個人タイムトライアル。コースは上から見るとほぼほぼ直線で、同じ道を折り返して戻ってくる。
でもってSRMのログを
  1. スタート時の加速
  2. 安定走行(パワーも速度も変動してるけどOK)
  3. 折り返しの為のブレーキング
  4. 折り返し後の加速
  5. 安定走行
  6. ゴール
とザックリ分類。これらのデータのうち、2番と5番の安定走行時の
  • 距離[m]
  • タイム[sec]
  • 平均パワー[W]
を抜き出す。風もパワーも変動してるので一定速度ではありませんがこの際無視。
データ的には
  • 全行程: 9762[m](9936[m]に補正), 935[sec], 244[W]
  • 往路安定区間: 3966[m](補正後4062[m]), 270[sec], 249[W]
  • 復路安定区間: 4312[m](補正後4389[m]), 515[sec], 240[W]
という感じ。往路と復路は区間や距離が被ってなくてもOK。距離はタイヤ周長由来なので、GPSの位置情報から求めた距離9,936[m]を基準に1.0179倍して補正する。
さて。よくある
Power = 0.5 x AIR_DENSITY x CdA x (Velocity + WindSpeed)^3 + GRAVITY x TOTAL_MASS x Crr x Velocity
の式で、初期値WindSpeed=0で往路のパワー(Power1)が249WになるCdAを探すと、
CdA=0.1005, WindSpeed=0, Power1=249W
になる。ここで得たCdA=0.1005, WindSpeed=0を使って、復路のパワー(Power2)を計算してみると
CdA=0.1005, WindSpeed=0, Power2=59W
とあり得ない低パワーになる。まぁCdAもあり得ない値なんですが。あ、復路のWindSpeedは x-1して逆向きにして計算。
で、上記の計算結果から復路のPower2が計測値240Wより小さかった場合は追い風側に修正して再計算し、大きい場合は向かい風に修正して再計算。というのを繰り返す。電卓でできる内容ですが、後で追試しやすいように80行ほどの簡単なプログラムで自動的(わらい)にCdAと風速を求めるようにしてます。
計算過程をピックアップするとこんな感じになった。
CdA=0.1005, WindSpeed=0.000, Power1=249W, Power2=59W
CdA=0.1970, WindSpeed=-1.000, Power1=249W, Power2=87W
CdA=0.1541, WindSpeed=-2.000, Power1=249W, Power2=133W
CdA=0.1958, WindSpeed=-3.000, Power1=249W, Power2=210W
CdA=0.2059, WindSpeed=-3.200, Power1=248W, Power2=230W
CdA=0.2101, WindSpeed=-3.280, Power1=248W, Power2=239W
CdA=0.2104, WindSpeed=-3.285, Power1=248W, Power2=239W
結果、往路-3.264[m/s]の追い風で、復路が3.264[m/s]の向かい風。CdAが0.2145という値が出てきました。あ、Crrは0.0035で計算。当日の最寄りのアメダスによると西北西の風平均4.6[m/s]、最大8.5[m/s]。風速がちょっと違ってますが方角についてはほぼコースに沿っている。
うーん、ザックリ計算ではあるけどCdA=0.2145って想像してたよりずいぶん良い値。当日はDHバーとシューズカバーは付けてたけど、普通のヘルメットに普通のジャージに工具ポーチ入りという感じ。
探索方法が力技で、かっこわるいんですがよく知らないし使えてるからいいや(ぇー)。より厳密にやりたい場合は上記の式ではなくて脳内サイクリングのエンジンにコースの勾配ログを入れて計算すれば良いだろう。