軽量パーツ、超軽量カーボンホイール、エアロホイールなどなどの高価な投資を必要とせず、かつ現状の身体能力はそのままでコレだけのタイム短縮ができる方法があるとしたら。
一定ペースに対して可変ペースでは具体的にどの程度タイムが短縮できるのか?tarmacさん、Globalcyclesさんのブログ等でだいぶ前から取り上げられているとおり、一定ペースで走るよりも場面に応じてペースを変えた方が同じエネルギーでより速くゴールできるのはよく知られてますが、計算がちょっと面倒なのもあってか日本のコースでのレポートを見たことがありませんでした。というわけでやってみた。
想定したライダーはやや小柄な
例えば一定ペース200W(3.63W/kg)で走らせると次のようなゴールタイムを得られます。
Alex Simmonsは同じような計算をMicrosoft Excelのソルバーで行っていたようですが、今回私は遺伝的アルゴリズムで準最適ペースを探す方法をとりました。ザックリしたものであればノートパソコンでも数秒から数分で結果が得られますし、上記のような100m区分の場合は1時間前後で結果を得ることができます。遺伝的アルゴリズムの世代を重ねるごとに最速タイムが更新されていく様子はなかなか感慨深いもんです。
例としてツールド美ヶ原を18区間にわけて最適ペースを探索する場合はこんな感じ。まず第1世代がいきなり34秒短縮できるペース配分を獲得。
続いて第2世代で36秒短縮。
第3世代で38秒。
第4世代で41秒。
第5世代で42秒。
第6世代で44秒。
第7世代で45秒。
第9世代で47秒。
第10世代で49秒。ここらへんから進化が停滞しだします。
第23世代で50秒。
第75世代で51秒。これ以後100世代以上すぎても進化はみられなくなるので終了。
これを18区分での準最適ペースとして採用します。計算時間は2分40秒ほど。
やはやり「キツい登りでより頑張って、緩斜面や下りで緩める」なんですが、斜度が同じなら他のコースでも同じペースで走ればよいかというとそうではありません。なぜならばコースによって傾斜の分布とその総距離が異なるので、「同じ平均パワーで最速(最速で最小のエネルギー)」という条件に納めるには、コースごとにペースの上げ幅、下げ幅をかえる必要があるようです。
ちなみにヤビツ峠を25秒短縮する110区間での準最適ペースはこんな感じになります。
って覚えてらんないですね.... 計算する区間が狭ければよりタイムを短縮できるようですが、人間が覚えられないんですよね。あと途中で垂れるリスクを軽減するためにはスローにスタートするのも正解だとおもいますし、難しいですね。
なので普通の人はゴールまでの残り距離を加味しながら、緩斜面で脚を少し抜いて急斜面で頑張るをまんべんなくやっておけば十分だと思う。優勝やタイムをガチで競う人は、少なくともコースごとの傾向と"頑張りどころ"と"休みどころ"がどこなのか極力把握しておいた方が良いと思う。美ヶ原みたく極端に勾配が変化するコースなら、頑張りどころの後に脚を抜ける区間があるならなんとか気持ちが持つかもしれません。
コンピュトレーナーとかリッチな環境をお持ちであればターゲットコースでの「上げ下げ」をシミュレートしておくのも効きそうです。もちろんパワーメーターとローラー台で予行演習はできますよね。
今回は風向きは考慮してませんが、探索ツールでは区間ごとに風速を指定してシミュレーションできるような作りにしています。風を加味して周回路や折り返しのあるTTでのペース配分も探索できるでしょう。もっと詳しく知りたい、もしくは仕事手伝ってくれ的なお話がありましたら oyama@module.jp までお知らせください :-)
- ツール・ド・草津 -19秒
- Mt.富士ヒルクライム -43秒
- つがいけサイクル -29秒
- ツール・ド・美ヶ原 -58秒
- マウンテンサイクリングin乗鞍 -33秒
- ヤビツ峠 -25秒
- 都民の森 -59秒
- Mt.鳥海1stステージ(個人TT) -17秒
- 九十九里波のりトライアル -7秒
一定ペースに対して可変ペースでは具体的にどの程度タイムが短縮できるのか?tarmacさん、Globalcyclesさんのブログ等でだいぶ前から取り上げられているとおり、一定ペースで走るよりも場面に応じてペースを変えた方が同じエネルギーでより速くゴールできるのはよく知られてますが、計算がちょっと面倒なのもあってか日本のコースでのレポートを見たことがありませんでした。というわけでやってみた。
想定したライダーはやや小柄な
- 体重=55kg
- 自転車=8kg
- その他装備重量=1kg
- 総重量 =55kg+8kg+1kg=64kg
- Crr=0.004
- CdA=0.285@<=10km/h, 0.275@<=20km/h, 0.255@<=30km/h, 0.245@> 30km/h
駆動力[N] = パワー / 速度
転がり抵抗[N] = Crr x 総重量 x 重力加速度
空気抵抗[N] = 0.5 x 大気密度 x CdA x 速度^2
勾配抵抗[N] = sin(atan(勾配)) x 総重量 x 重力加速度
加速度[m/s] = (駆動力 - 転がり抵抗 - 空気抵抗 - 勾配抵抗) / 総重量
速度[m/s] = 初期速度 + 加速度/経過時間
移動距離[m] = 初期速度 x 経過時間 + 0.5 x 加速度 x 経過時間^2
って感じに逐次計算しながら速度の推移をシミュレートすることでゴールタイムを計算します。例えば一定ペース200W(3.63W/kg)で走らせると次のようなゴールタイムを得られます。
- ツール・ド・草津 44分46秒
- Mt.富士ヒルクライム 1時間17分40秒
- つがいけサイクル 1時間9分43秒
- ツール・ド・美ヶ原 1時間21分13秒
- マウンテンサイクリングin乗鞍 1時間13分49秒
- ヤビツ峠 40分52秒
- 都民の森 58分10秒
- Mt.鳥海1stステージ 13分49秒
- 九十九里波のりトライアル 38分18秒
Alex Simmonsは同じような計算をMicrosoft Excelのソルバーで行っていたようですが、今回私は遺伝的アルゴリズムで準最適ペースを探す方法をとりました。ザックリしたものであればノートパソコンでも数秒から数分で結果が得られますし、上記のような100m区分の場合は1時間前後で結果を得ることができます。遺伝的アルゴリズムの世代を重ねるごとに最速タイムが更新されていく様子はなかなか感慨深いもんです。
例としてツールド美ヶ原を18区間にわけて最適ペースを探索する場合はこんな感じ。まず第1世代がいきなり34秒短縮できるペース配分を獲得。
続いて第2世代で36秒短縮。
第3世代で38秒。
第4世代で41秒。
第5世代で42秒。
第6世代で44秒。
第7世代で45秒。
第9世代で47秒。
第10世代で49秒。ここらへんから進化が停滞しだします。
第23世代で50秒。
第75世代で51秒。これ以後100世代以上すぎても進化はみられなくなるので終了。
これを18区分での準最適ペースとして採用します。計算時間は2分40秒ほど。
やはやり「キツい登りでより頑張って、緩斜面や下りで緩める」なんですが、斜度が同じなら他のコースでも同じペースで走ればよいかというとそうではありません。なぜならばコースによって傾斜の分布とその総距離が異なるので、「同じ平均パワーで最速(最速で最小のエネルギー)」という条件に納めるには、コースごとにペースの上げ幅、下げ幅をかえる必要があるようです。
ちなみにヤビツ峠を25秒短縮する110区間での準最適ペースはこんな感じになります。
って覚えてらんないですね.... 計算する区間が狭ければよりタイムを短縮できるようですが、人間が覚えられないんですよね。あと途中で垂れるリスクを軽減するためにはスローにスタートするのも正解だとおもいますし、難しいですね。
なので普通の人はゴールまでの残り距離を加味しながら、緩斜面で脚を少し抜いて急斜面で頑張るをまんべんなくやっておけば十分だと思う。優勝やタイムをガチで競う人は、少なくともコースごとの傾向と"頑張りどころ"と"休みどころ"がどこなのか極力把握しておいた方が良いと思う。美ヶ原みたく極端に勾配が変化するコースなら、頑張りどころの後に脚を抜ける区間があるならなんとか気持ちが持つかもしれません。
コンピュトレーナーとかリッチな環境をお持ちであればターゲットコースでの「上げ下げ」をシミュレートしておくのも効きそうです。もちろんパワーメーターとローラー台で予行演習はできますよね。
今回は風向きは考慮してませんが、探索ツールでは区間ごとに風速を指定してシミュレーションできるような作りにしています。風を加味して周回路や折り返しのあるTTでのペース配分も探索できるでしょう。もっと詳しく知りたい、もしくは仕事手伝ってくれ的なお話がありましたら oyama@module.jp までお知らせください :-)