加速度センサーを用いたパワーメーター製品の精度:SRMとStages Powerのケイデンス計測値を比較


3月ごろからStages Powerを使っています。加速度センサーをつかうパワーメーターはフレーム側に磁石つけなくていいので運用らくで良い。

SRMとの相互運用を念頭にしばらくあれこれテストしてました。長く使っているSRMと、Stages Powerがどのように違うのかを把握しておきたい。「どちらが正確か」とか一切興味なくて「どのような差異があるのか」なのがポイント。パワーメーター製品間の差異を生みだす要因として考えられるのは
  1. ケイデンス計測値の差異
  2. トルク計測値の差異
  3. (1 x 2の結果として)パワー計測値の差異
があって、それぞれ個別に確かめた。いろいろ興味深かったけど、そのうち今回はケイデンス。

SRMはリードスイッチとマグネット、Stages Powerは加速度センサーを用いて角速度を計測している。なんとなくリードスイッチ+マグネット方式が正確な気がするけど、答えはやってみなくちゃわからない。


比較に際してサイクルコンピュータ2台で同時記録して平均値を比べるのが簡単だけど、製品ごとに1秒未満のサンプルの丸め処理に差異があったり、そもそも製品間でタイミングを同期できていない問題がある。さらには小数点以下の切り上げ・切り捨てルールが製品によって違う。メーターを目視して比較するのは論外。
そこでGarmin ANT USB Stick™を使いMac OS Xで複数のパワーメーターを同時に記録するソフトウェアを書き下ろすことに。ANT+ Bicycle Power Profileのうち、SRMのCrank Torque FrequencyとStages PowerのTorque At Crank(またはStandard Crank Torque)のパケットをデコードして記録するソフトウェアを用意した。



実行するとこんな感じ。
画面は開発中のものです

ANT+のCrank Torque FrequencyとTorque At Crank型のパワーメーターは、クランク1回転に要した時間(1/2000 or 1/2048秒刻み)と、クランク1回転中にサンプリングしたトルクの積算値を1回転毎に無線で発信している。これらを同時に捕捉することで、角速度とトルク(もちろんパワーも)をクランク一回転単位で比較できる。"同時"と書いているが「1回転」を認識するタイミングがSRMとStages Powerとでクランク半回転分の差異がある。が、これは無視して良いだろう。


本題の実験。ケイデンス計測値の差異を確認するために、右にSRM Dura-Ace 7800 Compact(SRM PM6)、左にStages Power Dura-Ace 9000(generation 1)を取り付け、ケイデンスを70rpmから150rpmの間を約10rpm刻みで60サンプルずつ計測した。満遍なく計るのがポイント。
まっすぐだ。


「なにかしらの差異があるだろう」という先入観があったのでちょっと意外。というわけで、リードスイッチとマグネットを使うSRMと、加速度センサーを使うStages Powerとの間で、ケイデンスの計測値に差異は無いと言えそうだ。